NHK短歌

NHK短歌 1月号

今月もNHK短歌の投稿は全没でしたが、「ジ・セ・ダ・イ・タ・ン・カ」に掲載されていました。

10月の月間テーマ「空」
「青空を見下ろしましょう」失恋傷心宇宙旅行ツアーのポスター (斉藤斎藤さん選)

歌をなかなか詠めないときは、定型に収められずに破調になってしまいます。やけっぱちなところが内容に合っていますが。

今回のお隣は平岡あみさんで、この週「今週の一首」だった飯田和馬さんは別の週の選者で掲載されていました。

最強の何かに(何かは未定だが)なりたい空の高いビル街 (飯田和馬)
(田口綾子さん選)

「空」の題に則していながら、なおかつ、とてもよい青春歌だと思います。

今年の採用歌はここまでです。だんだんと技術がついて内容はこなれてきたけれど、小さくまとまってしまっている感もあります。来年は何かをつかんで、新たな代表作と言えるような歌を詠めればよいなと思います。

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NHK短歌 11月号

NHK短歌 11月号

題:「流」
後ろ向きのみに流れる川沿いで「じゃあ」と別れて踵を返す
(選者:佐伯 裕子 さん 佳作)


新選者になって初めて選ばれました。思えばNHK短歌は半年以上没続き。

大雨の日に、家の横の川が思い込んでいたのと反対向きに流れていることに気付き、そのモチーフから出発しました。川は自分の歩く向きと常に反対に流れているのかもしれないと。

この歌を詠んだ頃は、夜ぷちで

・後ろ向きに歩いていけば若い日に戻れるような五月晴れの日
(栃木県 松 さん)

という歌を見て、短歌は時間を自由な方向へ流すことができるのだと感銘を受けていました。どうにか時間を巻き戻す歌を作ろうと試みていたのですがうまくゆかず、N短の締切に追われてこのような歌ができたのでした。

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NHK短歌 7月号

今週は夜ぷちも全没。NHK短歌も引っ越し直後でまともに投稿していなかったので、全没を確認して本を棚に戻しました。そういえば「ジ・セ・ダ・イ・タ・ン・カ」は何が書いてあるのかなあともう一度本を手に取ると、

4月の月間テーマ「輪」
単語帳の輪っか外れてはらはらと記憶がこぼれてゆくテスト前
(石川美南さん選)

放送では四周目くらいに読まれたので、まさか載っているとは思いませんでした。しかも「奈良へ引っ越したた」名義です。

この歌を詠んだ頃は、三句目のオノマトペがマイブームでした。掲載歌は「はらはらと」が無しでも意味が通りますが、真ん中に置くことで緩衝地帯のようになり、上句から下句へとスムーズに移行していく気がします。

他にも「するすると」「ふるふると」「さめざめと」などを使っていました。オノマトペは韻律と字数を整える便利グッズですが、安易に多用しないように気を付けようと思います。

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NHK短歌 4月号

NHK短歌 4月号

題:「鞄」
ランドセルちからいっぱい放るのがふたりの決闘開始の合図
(選者:東 直子 さん 佳作)


更新が遅れましたが、NHK短歌の4月号に一首掲載されました。東さんには夜ぷちで未だに採用されたことがないのですが、N短では一番拾っていただいています。それとなぜか、題の文字をまともに読み込まずに投稿してしまいます。(「髪」→「毛」、「布」→「ハンカチ」、「鞄」→「ランドセル」)

「ちから」を平仮名にしているのは、「力」だと「ランドセル」に続いてカタカナに見えるかもと思ったから。「ふたり」は「二人」にするか迷います。「ひとり」は「一人」「独り」があり、もっと迷います。苦し紛れに詠んだ気がします。投稿した後に、秘密のノートにもっと納得のいく「鞄」の歌を見つけました。

見開きのページに、お会いしたことのある方々の名前をたくさん見つけました。それぞれ思い思いに、人知れず歌を詠み始めたのでしょうが、こうして仲間ができてゆくというのは不思議であるとともに、有難く、嬉しいものです。

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NHK短歌 3月号

NHK短歌 3月号

先月号の三首採用の反動もあり、今月号は全没でした。

と思っていたところ、「ジ・セ・ダ・イ・タ・ン・カ」の夜ぷちコーナーに一首掲載されていました。

12月の月間テーマ「ラジオ」
トイレ中聴いてたラジオのおしゃべりが面白すぎて水流せない
(穂村弘さん選)

ほんの冗談のつもりで投稿した作品が採り上げられて未だに戸惑っています。短歌として評価されたというよりも、視点の珍しさが評価されたものだと受け取っています。

そもそも見ていたのはワンセグなので、ラジオという題がなければ詠むことはなかったでしょう。製作過程を明かしますと、「トイレ中聴いてたラジオが面白く水流せない手を洗えない」からスタートしています。詰め込みすぎだと感じて「水流せない」だけに焦点を絞りました。いずれにしろ美しい話ではありませんが・・・

とりあえず、How to 短歌で穂村さんから言われた「肩の力を抜きなさい」を実践できたのではないかと思います。いろいろな方々の詠む、自分には詠めそうにもない歌を見て焦る気持ちもありますが、いまのところの自分はこんな感じでやっております。

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NHK短歌 2月号

NHK短歌 2月号

題:「豆」
茹で豆の皮を剥がして現れた双葉となれぬ姿を食べる
(選者:今野 寿美 さん 佳作)

題:「布」
十年も暮らしたのかとハンカチに透かす記憶のやはらかな色
(選者:東 直子 さん 佳作)

題:「光る」
トンネルの出口が光る三秒の景色広がりまた暗闇へ
(選者:米川千嘉子 さん 佳作)


三首も採られていました。店頭でテキストを手に取ってびっくり。そして一番自信のあった「街」だけ落選していたので、分からないものです。

「豆」は締切ぎりぎりまで歌が浮かばずに苦労しました。空豆などの皮を剥いて食べるとき、これは本来ならば双葉となるはずだったのだなあと思ってしまいます。豆は乾燥しても生きていますが、茹でてしまうともう発芽することはありません。茹でるという行為は豆を美味しくしますが、豆の命を止めてしまう行為でもあるのです。

「布」は思い入れがありました。気が付けば十年も暮らした京都。ハンカチもすっかり古くなり、向こうの景色を透かして見ることができます。と言いつつ、最近はタオル地のハンカチを愛用しています。しかも、歌には「布」の字が入っていません。「やはらかな」としたのは、「やわらか」や「柔らか」よりも「やはらか」かなと思ったからなのですが、活字にしてみるとそうでもなかったかもしれません。

「光る」は山陰線の電車で嵐山付近を通過したときのことです。トンネルが多く、暗闇、絶景、暗闇、の繰り返しでした。いろいろ悩んでいるときでしたので、心情の歌にも捉えられるように、抽象的に詠んでみました。もう少し具体的にした方が深みが出たかもしれません。

N短の題はいつも悩みます。間口が広いので、自分の手元に手繰り寄せるのが難しいのでしょうか。締切に追われてやっつけになるのではなく、肩の力を抜いて自分らしい歌を詠めればなあと思います。

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