ご紹介

「うたつかい」創刊号

嶋田さくらこさん(@sakrako0304)が編集長の短歌zine(小冊子)、「うたつかい」に参加させていただきました。Twitter歌人60名によるアンソロジーです。こういうのができたらいいなと思っていた矢先のお誘いで、とても嬉しい企画です。しかも月刊誌で、価格はなんと一冊100円!こちらで入手できます。

http://www.utatsukai.com/

創刊号は一人5首ずつ自由題での寄稿。気になる作者と作品を挙げさせていただきます。長くなってしまうので、他所で感想を見掛けない方を中心に。

最も心に残ったのは、つな(@natsugawa)さん。

・君が笑う。それは近頃ありふれている神様のひとつのかたち
・午後3時冷蔵庫前で開戦しエクレアの乱(2011)

淡々とした独特の世界観で、数字やアルファベットを使用しても心地良い韻律です。


次に技ありを感じる歌

○楠木めいこ(@kumako03t)さん
・二分だけ電波時計が進んでて二分未来を生きてる私

ここ数ヶ月、「料理を作りすぎたので何日か生きなければ」「時計の針を進めて数分先を生きる」などという歌を考えていてまとまらずにいて、やられたと思いました。

○紗都子(@satocott)さん
・なにげない言葉がしみる胸の奥ふいにこぼれた炭酸水の

ループになっている歌。自分でも挑戦しているのですが、なかなか詠めません。

○ささきふみ(@strangerose23)さん
・「うふふ」って言ってよもっと、「うふふ」って。「うふふ」は伝染するから。うふふ。
・「なのね」とか「のよ」とか「だわ」とかさりげなく使える人にワタシハナリタイ(のよ)

結句が技ありです(のよ)。うふふ。

○天鈿女聖(@uzume_no_hijiri)さん
・殴る、蹴る、最後は魔法のステッキで私のことを好きにさせます
・乱打戦になっても魔法のステッキを使わずK.O.してあげるから

アニメネタの歌と思いきや、それぞれに細かく技がかかっています。魔法のステッキをどのように使っているのだろう。


その他、個人的好みを(順不同)

○嵯野みどりは(@midoriha)さん
・駆け引きができたら 恋が上手ければ「もしも」「もしも」 と星は瞬く

「もしも」「もしも」が星の瞬きというのがよいです。さすが編集主任!

○飯田彩乃(@iida_ayano)さん
・快楽のゆくえを手探る白蛇のどこまでが尾かを調べるように

うーん、このエロチックさは癖になりそう。お好きです(笑)

○さとうはな(@s_hana111)さん
・伝えきれぬ想ひの深さ水草の丈は水面(みなも)に届かざりけり

Twitterがきっかけというのにこの伝統的な古風さ。

○結城直(@chokutan)さん。
・快適な温度を保つ部屋にいて君と育てていくものがない
・読みかけの本はあなたの手の中で私のように愛されている
・僕たちの記憶の中で安らかに眠れかつては愛だったもの

「愛」なのですね。「恋」ではなくて。

○かおる(@kaoru_is)さん
・網棚に載せたあたしの恋心届け あなたの暮らす街まで
・車窓からあなたの部屋が見えていて 閉じたカーテン確認してた

さりげない視点が丁寧に詠み込まれていて好きです。

○ポチ(@pontikin1038)さん
・手相見は手首の傷を摩りつつ 自分の過去を語り続ける

占いの本質を突いたような歌。

○じゃこ(@sabajaco)さん
・UFOが攻めてきたなら我々は味方ですぞとカマキリ部隊

多くの人が挙げていた「ポチでもええわ」(上記のポチさんではありません)の歌はもちろんのこと、UFOとカマキリを対比したこちらもじゃこさんならではです。

他にも感想を書きたい歌がたくさんありましたが、まずはここまで。顔も本名も知らない方々、いつかお会いできるのかな。さくらこ編集長、ありがとうございます。そして来月以降もよろしくお願いします!

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『ちょろ玉短歌集vol.1』のご紹介

夜はぷちぷちケータイ短歌でもおなじみのちょろ玉さんから『ちょろ玉短歌集vol.1』をいただきました。京都府にいらっしゃるということで、ずっと以前から勝手に親近感を抱いていましたが、遂にラブコールを送ることができました。

クッション入りの封筒から取り出して、歌集の装丁にびっくり!ひとつひとつ、ミニアルバムを使用した手作りです。とても丁寧なつくりです。もしかして、馬の背に乗ってむこうを向いているのがちょろ玉さん!?


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まずは、特に心に残った二首を紹介させていただきます。


・「無事ですか」「無理してませんか」母からのメールはいつも無からはじまる

・根っからの美人は何でもよく似合う マスク・跳び箱・バスケ部の彼


一首目は『How to 短歌』のコーナーに出演されていた際に紹介されていた歌ですね。言われてみると、なるほどと思います。お母さんという存在の温かさと、それに気付くことの 出来るちょろ玉さんの優しさ。それらが「無」から見出されてきて、素晴らしい一首だなあと思いました。斉藤斎藤さんの「お堅い短歌への改作」(笑)も勉強になりましたが、ちょろ玉さんの原作の方がよいなあと思います。

二首目は「根っからの」が効いていると思います。単なる美人ではなくて、「根っからの美人」でなければならないのでしょう。下の句が見事に”何でも”という組み合わせです。結句の「バスケ部の彼」に羨ましさややけっぱちが感じられるところが滑稽で、歌に広がりが出ていると思います。


他にも好きな歌ばかりですが、歌集を丸ごと紹介することになってはいけないので、厳選して紹介させていただきます。(ときどきひとことコメント)

・Uターンしてることさえ気付かないくらいでっかく走り続けろ

・日本語が苦手なボブは「さよなら」と言えずにそっとこの街を出た
― さよならと「言えずに」からボブへの思い遣りが感じられます。

・3-1の窓から空を眺めても白紙のままの将来の夢

・「青春」というタイトルで保存した写真はたった一枚だけど
― たった一枚につけたタイトル。まさに青春です。

・心理テストするから十回「好きだ」ってあたしの目を見てゆっくりゆって (あやのちゃん短歌)
― 十回言った時点で、心理テスト完了ですね。

・ボリュームはゼロだったけど口元は「ありがとう」って僕には見えた
― あたたかい歌にも、片想いの歌にも、どちらにも受け取れます。

・右側にもたれかかって私たちみたいに愛し合うハイヒール

・終止符が打たれていても例題の"I love you."は愛なのだろう

・十二時に魔法がとけたら自転車を飛ばして空へはばたいてゆけ
― 冒頭の「Uターンしてることさえ・・・」とともに、決意が感じられます。

あまり厳選されていないような・・・(汗) ちょろ玉さんの丁寧な視線とともに、時折感じられるさびしさのようなものが印象的でした。


ここまで満喫して最後のページをめくったら、なんとなんと、背表紙の見開きにミニミニコラボ歌集が挟んでありました!


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このようなサプライズがあるなんて、もう涙が出てきます!!こちらからも紹介させていただきます。

・さくら見てお団子たべて君を見てさくら見ないで君を見ていた(ちょろ玉)

・縁側に誰も座りはしないのに全力で咲く母の向日葵(おっ)

・失恋す一人の道に落ち葉舞う 上を向いてと言わんばかりに(ひめじょおん)

・生まれたてほやほや切符はあたたかい雪ふる駅で暖をとる朝(みゅーたん)

ちょろ玉さんには僕のお団子を是非ともご馳走しなければいけませんね(笑)


手書きのメッセージまでいただけて、もう感激です!
字がきれい!!


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半月前には頂いていたのに、感想を書くのが遅れてしまって申し訳ありません。恥ずかしながらお礼として、拙作『たたたん、たたたん、たた短歌 2010』を送らせていただきました。大変嬉しいことに、ちょろ玉さんのブログ『ちょろ玉の一球入魂』でとても丁寧にレビューしていただいています。ありがとうございます!

ちょろ玉さん、これからも素敵な短歌を詠み続けて下さい。楽しみにしています!!

Tata

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