夜ぷち

さみしいけれど

3月18日 夜はぷちぷちケータイ短歌

月刊テーマ「先生」

・先生に「わかりません」と言われた日世界の色を塗り直した日
(東直子さん選、放送外)

企画テーマ「もらい泣き」

・かなしみの君の欠片をばら撒いた空が泣き止んだらもらい虹
(東直子さん選、放送外)

・うなだれた君を見下ろす電線のすずめがもらい泣きして時雨
(だいたひかるさん選、放送外)


三首も採られたのは初めてかも、と思ったら、これが夜ぷちでの最後の採用となってしまいました。

先生にわかりませんと言われたのは百人一首です。幼稚園のときのこと。先生は何でも知っている存在と思っていたので、ひどくショックを受けたことを覚えています。質問が質問ですから無理もありませんが。

「もらい泣き」の二首は「かなしみの欠片」「もらい虹」「雀の目にも涙」からスタートしたのですが、無理矢理相聞歌に着地したところがあります。東さんに採っていただけたのは嬉しいですが、果たして自分らしい歌なのか、複雑な気持ちもあります。

ケータイ短歌、とうとう終わってしまいました。二年間だけ関わったこの番組からは短歌の楽しさの他にも、とても大切なものをたくさんいただきました。寂しいですが、ちょうど一区切りだなというのも正直なところです。幸運なことに活動の場はできつつあるので、短歌はこれからも続けていきたいです。

ケータイ短歌の備忘録として始めたこのブログ、他に主な投稿先もないので、これからは一首評ブログとして運営していこうかなあと考えています。「たたたん、たたたん、たた短歌」を別の形でお楽しみいただけるようにできればなあと思っています。

Tata

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別れ話

3月4日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「別れ話」

・旅先で別れ話がととのって最寄り駅までふたりで帰る
(だいたひかるさん選、放送外)


友人から聞いた体験談です。彼女と旅行して早々にに別れ話になったけれど、予め立てたスケジュールはこなすという珍道中になったそうです。もっと事実に即して(?)、

・長崎で別れ話がととのって新大阪へふたりで帰る

のようにした方が面白いかなあと思いました。

月間テーマの「先生」、とても難しくて悩みっぱなしです。次回は再来週なので、他の方の採用歌も参考にさせてもらってじっくりと考えようと思います。

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相聞か?

2月19日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「スパイス」

・黒塗りのトレイに七味がこぼれてる そうか君は震えてたのか
(穂村弘さん選、放送外)


穂村さんに随分久しぶりに採っていただけました。自信のあったもう一首は没でしたので、いつもよく分からなくなります。

こちらは飯田和馬さんのブログ歌会で出した作品の改作です。元々は、

・君もまた震えてたのかトレイには七味唐辛子がこぼれてる

だったのですが、「『七味』とあれば『唐辛子』は重複ではないか」「トレイの黒と七味の鮮やかさの対比という最初の着想を活かしては」というアドバイスを参考に推敲してみました。まだ完全に納得のゆく形ではありませんでしたが、投稿してみました。

それにしても、七味をこぼしただけであれこれ思われるとしたら、まったく油断のならない話です。

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ウエスト・サイズ・ストーリー

1月22日 夜はぷちぷちケータイ短歌

月間テーマ「カレンダー」

・カレンダーを最初に発明した人はさぞかし忙しかったのだろう
(だいたひかるさん選、放送外)

企画テーマ「メタボ」

・「72→105→80」(助演母) 父のウエスト・サイズ・ストーリー
(加藤英美里さん選、☆放送で)


二首採用していただきました。ゲストに採用されたのは一年半ぶりくらいのような気がします。

カレンダー、発明した人は忙しかったのか、それとも暇だから発明できたのか。「暇だったのだろう」では字足らずなのと、金曜の朝ぎりぎりに思いついて推敲の時間がなかったのでこの形で投稿しました。

メタボ、日本シリーズのときに投稿した作品です。奇抜な表記にも関わらず、ゲストに選んでいただけました。「ウエスト・サイズ・ストーリー」は父のよく言う駄洒落です。本当はウエスト90くらいまでしか太らなかったと思うのですが、字数の都合でオーバーに太ってもらいました。放送では母が痩せさせたことにだけ触れていましたが、太らせたのも母の助演のはず・・・です。

月間テーマの「カレンダー」はあと一週間。なかなか捉えるのが難しいテーマです。

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めくめくめくめくめくめく

1月15日 夜はぷちぷちケータイ短歌

月間テーマ「カレンダー」

・日めくりが風にめくられめくりめくめくる揺らめくはじまりのとき
(だいたひかるさん選、放送外)


今年初めての採用歌です。だいたさん、ありがとうございます。今年もよろしくお願いします。

「オノマトペ」がテーマの飯田和馬さん主催のブログ歌会に参加中ということで、年末からオノマトペのことばかり考えていたらこんな歌ができました。なんとなんと、「めく」を六回も使っています。オノマトペは詠んでも読んでも楽しいですね。

自分はオノマトペを多用する方だと思っていたのですが、昨年の採用歌でオノマトペを使った歌はたったの三首。意外でした。

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ラグビーボール

12月4日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「偶然」

計らずも君と出会った校庭にラグビーボールが跳ね回ってる

たまたまがまたまたになり必然に気付いたらもう逃れられない
(天野 慶さん選、放送外)


テーマ「偶然」で投稿した二首をどちらも採っていただきました。

一首目、偶然を表すものとしてラグビーボールが思い浮かび、下の句から作りました。上の句をもっと工夫したかったところですが、締切ぎりぎりだったので無難なところで投稿してしまいました。最初は三句目を「グランドに」にしていたのですが、よく考えたら「グラウンドに」が正しく、字余りになるので「校庭に」に差し替えました。

二首目、「たまたま→またまた→またたまたま」という案で作っていましたが、字数が合わないのでこのような形に収めました。テーマ「偶然」でなければちょっと面白みに欠けるかもしれません。

自由テーマは一首だけ送って没でした。ここのところ歌を詠めていないので、どのような歌を投稿するか過去作を見直しています。自由って悩ましい。

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MMK

11月27日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「モテ期」

モテ期とは持て余すこと晩秋のプチトマトがたわわに実る日々
(東直子さん選、放送外)


プチトマトを育てたとき、夏には全然収穫できなかったのに、秋も終わりという時期に、次から次から実って困ったことがありました。とても甘くておいしいのですが、寒くてたくさん食べられるものではありません。モテ期→持て余す、という言葉遊びから始めて、望外の事態に戸惑う様を表現してみました。

東さんに採っていただけたのはようやく二度目です。詩的な表現が苦手な自分にはいつも難関です。

今回は珍しく「つぶやき+実景」型です。ここのところ、短歌を詠み続けるためには、この基本形を身につけることは避けて通れないと感じています。難しいけれど、チャレンジです。

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「青空を見下ろしましょう」

10月30日 夜はぷちぷちケータイ短歌

月間テーマ「空」

「青空を見下ろしましょう」失恋傷心宇宙旅行ツアーのポスター
(斉藤斎藤さん選、☆放送で)


地球にいるから空を見上げるけれど、宇宙からは空を見下ろすなあというところから着想しました。はじめは宇宙飛行士の歌を考えていたのですが、いっそのことやけっぱちになってみました。やけっぱちなので三句目が8文字という破調です。三句目を5文字の定型にしてみようとしましたが、おとなしくなってしまうので破調でよしとしました。三句目から4・4・3・3・3というリズムが後半への畳み掛けになるのかなあと思っています。

宇宙旅行というと、どうやら地球の回りを飛ぶ様子がイメージされるようです。近い未来にこんなツアーが現れそうだなあと思う一方、宇宙旅行全盛の時代には地球の見えないところへ行くのが当たり前になって、この作品がピンと来なくなるのかもしれませんね。

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雑誌の表題

10月9日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「雑誌」

一文字か二文字だけの表題の雑誌のような祖父の生き様
(田口綾子さん選、放送外)


学者だった祖父は信念に生きました。雑誌でいうと、アルファベットやカタカナの長ったらしいタイトルではなく、「本」「文藝」などのように一文字か二文字だけの、王道を追い求めるものでしょう。

家族詠は後ろめたさがあります。祖父の喩えが雑誌でよかったのだろうか。題詠ならではというところです。

ところで月間テーマ「空」は難しい。「カラ」の過去歌を投稿しただけでした。一ヶ月間詠み続けられるのでしょうか。

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駅弁を食べるタイミング

8月28日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「プライド」

ほどほどに意地を張りたい 駅弁は電車が動いてから食べるもの
(加藤治郎さん、だいたひかるさん選、☆放送で)


加藤先生に約1年ぶりに採っていただきました。前回に引き続き、だいたさんにも採っていただけるなんて!

お腹がペコペコで駅弁を買うわけですけれど、席に座るやガツガツ食べるなんて、はしたない。電車が走り出してから、何事もなかったかのようにおもむろに駅弁の包みを開く。という、小さな小さなプライドです。

電車での旅行中に考えました。元々は下句を先に思いついて、ゆっくり生きていこうね、というニュアンスの歌にしましたが、上句を変えて「プライド」のテーマに流用しました。プライドの多くはささやかなところにある。だからこそ、知らず知らずに傷付けることがないよう、気を付けなければいけませんね。

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