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2011年10月

NHK短歌 11月号

NHK短歌 11月号

題:「流」
後ろ向きのみに流れる川沿いで「じゃあ」と別れて踵を返す
(選者:佐伯 裕子 さん 佳作)


新選者になって初めて選ばれました。思えばNHK短歌は半年以上没続き。

大雨の日に、家の横の川が思い込んでいたのと反対向きに流れていることに気付き、そのモチーフから出発しました。川は自分の歩く向きと常に反対に流れているのかもしれないと。

この歌を詠んだ頃は、夜ぷちで

・後ろ向きに歩いていけば若い日に戻れるような五月晴れの日
(栃木県 松 さん)

という歌を見て、短歌は時間を自由な方向へ流すことができるのだと感銘を受けていました。どうにか時間を巻き戻す歌を作ろうと試みていたのですがうまくゆかず、N短の締切に追われてこのような歌ができたのでした。

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相対速度

うたらば ブログパーツ短歌
第21回テーマ「動」

止まらずに常に動いていますただあなたと同じ速度なのです


田中ましろさんが企画・制作されているうたらばのブログパーツに初めて採用していただきました。このブログの左手にも表示されています。

理系の方ならピンとくると思いますが、相対速度のことです。止まっているというのは周りと同じ速度で動いていることとも言えます。「速さ」ではなく「速度」と言っているところが理系です。

今月いっぱいくらい表示されると思います。他の方の歌もご鑑賞下さい。次は冊子に採用されたいな。

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雑誌の表題

10月9日 夜はぷちぷちケータイ短歌

企画テーマ「雑誌」

一文字か二文字だけの表題の雑誌のような祖父の生き様
(田口綾子さん選、放送外)


学者だった祖父は信念に生きました。雑誌でいうと、アルファベットやカタカナの長ったらしいタイトルではなく、「本」「文藝」などのように一文字か二文字だけの、王道を追い求めるものでしょう。

家族詠は後ろめたさがあります。祖父の喩えが雑誌でよかったのだろうか。題詠ならではというところです。

ところで月間テーマ「空」は難しい。「カラ」の過去歌を投稿しただけでした。一ヶ月間詠み続けられるのでしょうか。

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「うたつかい」創刊号

嶋田さくらこさん(@sakrako0304)が編集長の短歌zine(小冊子)、「うたつかい」に参加させていただきました。Twitter歌人60名によるアンソロジーです。こういうのができたらいいなと思っていた矢先のお誘いで、とても嬉しい企画です。しかも月刊誌で、価格はなんと一冊100円!こちらで入手できます。

http://www.utatsukai.com/

創刊号は一人5首ずつ自由題での寄稿。気になる作者と作品を挙げさせていただきます。長くなってしまうので、他所で感想を見掛けない方を中心に。

最も心に残ったのは、つな(@natsugawa)さん。

・君が笑う。それは近頃ありふれている神様のひとつのかたち
・午後3時冷蔵庫前で開戦しエクレアの乱(2011)

淡々とした独特の世界観で、数字やアルファベットを使用しても心地良い韻律です。


次に技ありを感じる歌

○楠木めいこ(@kumako03t)さん
・二分だけ電波時計が進んでて二分未来を生きてる私

ここ数ヶ月、「料理を作りすぎたので何日か生きなければ」「時計の針を進めて数分先を生きる」などという歌を考えていてまとまらずにいて、やられたと思いました。

○紗都子(@satocott)さん
・なにげない言葉がしみる胸の奥ふいにこぼれた炭酸水の

ループになっている歌。自分でも挑戦しているのですが、なかなか詠めません。

○ささきふみ(@strangerose23)さん
・「うふふ」って言ってよもっと、「うふふ」って。「うふふ」は伝染するから。うふふ。
・「なのね」とか「のよ」とか「だわ」とかさりげなく使える人にワタシハナリタイ(のよ)

結句が技ありです(のよ)。うふふ。

○天鈿女聖(@uzume_no_hijiri)さん
・殴る、蹴る、最後は魔法のステッキで私のことを好きにさせます
・乱打戦になっても魔法のステッキを使わずK.O.してあげるから

アニメネタの歌と思いきや、それぞれに細かく技がかかっています。魔法のステッキをどのように使っているのだろう。


その他、個人的好みを(順不同)

○嵯野みどりは(@midoriha)さん
・駆け引きができたら 恋が上手ければ「もしも」「もしも」 と星は瞬く

「もしも」「もしも」が星の瞬きというのがよいです。さすが編集主任!

○飯田彩乃(@iida_ayano)さん
・快楽のゆくえを手探る白蛇のどこまでが尾かを調べるように

うーん、このエロチックさは癖になりそう。お好きです(笑)

○さとうはな(@s_hana111)さん
・伝えきれぬ想ひの深さ水草の丈は水面(みなも)に届かざりけり

Twitterがきっかけというのにこの伝統的な古風さ。

○結城直(@chokutan)さん。
・快適な温度を保つ部屋にいて君と育てていくものがない
・読みかけの本はあなたの手の中で私のように愛されている
・僕たちの記憶の中で安らかに眠れかつては愛だったもの

「愛」なのですね。「恋」ではなくて。

○かおる(@kaoru_is)さん
・網棚に載せたあたしの恋心届け あなたの暮らす街まで
・車窓からあなたの部屋が見えていて 閉じたカーテン確認してた

さりげない視点が丁寧に詠み込まれていて好きです。

○ポチ(@pontikin1038)さん
・手相見は手首の傷を摩りつつ 自分の過去を語り続ける

占いの本質を突いたような歌。

○じゃこ(@sabajaco)さん
・UFOが攻めてきたなら我々は味方ですぞとカマキリ部隊

多くの人が挙げていた「ポチでもええわ」(上記のポチさんではありません)の歌はもちろんのこと、UFOとカマキリを対比したこちらもじゃこさんならではです。

他にも感想を書きたい歌がたくさんありましたが、まずはここまで。顔も本名も知らない方々、いつかお会いできるのかな。さくらこ編集長、ありがとうございます。そして来月以降もよろしくお願いします!

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